仕事・副業

【機械メーカー営業】知っておくべき物作りの知識

こんにちはワニパパです。

機械系製造業の営業職に就職、または転職を考えている方は「販売」には多少精通してても「物作り」つまりはどんな技術や製造方法で製品ができているか分からないという方は多いのでは?

製造業で働く営業マンは最低限の物作りの知識があった方が技術部門や製造部門とのコミュニケーションが円滑になります。

今回は機械メーカーの営業職を7年勤めた私が、機械系製造業の営業職に就職する前に知っておくべき最低限のもの作りの知識を紹介します。

ちなみに製造部門や技術部門と仲良くできない営業マンは仕事がきつくなります。

顧客から納期短縮の相談があっても工場に相談しづらい、技術的な問合せがあっても技術部に相談しづらいといった問題が起きるからです。

この記事を見て「この営業マンは多少話の分かる奴だ」と思ってもらえる様に是非最低限の知識を身につけて下さい。

またこの記事では難しい言葉は一切使いません。中学生でも分かる様に専門的な用語は可能な限り無くし噛み砕いて説明します。

表面処理

表面処理とは質感を良くしたり、錆び防止などを目的に製品の表面を覆う膜をつくる事です。

周囲を見渡してみても、ツルツルしたものやザラザラしたもの、色や質感が異なるもの等様々なものがある事がわかります。

よく使われるメッキという言葉も表面処理の一種です。

オリンピックで使われる金メダルは純金で作られている訳ではない事をご存知ですか?
あれも他の金属で作ったメダルに金のメッキをしているだけなのです。

例えば自社製品がすぐに錆びてしまうといったクレームが発生した時に『表面処理がいき届いてない部分だったから錆びてしまった』といった使われ方をします。
製造業ではよく使う用語なのでチェックしておきましょう。

・対象物の表面を覆う膜
・メッキも表面処理の一種

熱処理

ある一定の金属は熱処理で高温にした後適切な冷却処理を施すと硬くなり強度が上がります。

何故硬くなるのかといった専門的な話はここでは省略し、工業の分野ではどういった場面で使われるのかを紹介します。

そもそも金属にはたくさんの種類がある事はご存知だと思います。
金属は一つ一つ特徴があります、軽いけど弱い金属、重いけど硬い金属といった具合です。

そうした中で製品の安全性を保つにはどうしても強い強度を持つ金属が必要となり、それを議論する上で必ずと言っていいほど耳にするのが『熱処理』です。

ある種の金属は『熱処理』という加熱をする行為をして適切な冷却処理を加えると金属の組織が変わり強度が上がります。

昨今の工業分野では安全性を守る上で熱処理をした頑丈な金属を使う事が非常に多いです。身近なものでは自動車などはたくさんの熱処理された金属が使われており、実はとても身近な技術なのです。

上記の様に『熱処理』は金属の強度について議論する上で欠かせない用語となります。

例えば貴方の販売した製品が折れて壊れてしまったというクレームが起きたとしましょう。客先から調査を依頼された時に強度をチェックした所『この部品の熱処理が甘かった様だ』といった話になる事があります。

・金属は熱を加えることで組織が変わり強度が上がるものがある
・熱処理は強度や安全性を議論する上で欠かせない技術

寸法公差

ここでは製造だけでなく設計技術でも重要となる考え方を紹介します。

もの作りに関わっていないと中々しっくりこない「寸法交差」という概念についてできるだけ簡単に説明します。

例えば今から20mmの長さの部品を作るとします。
実際に作ったその部品がぴったり20mmという事はにはならない訳です。

どれだけ正確に作っても小数点単位の小さな小さな誤差があるはずですよね?
極端な話ですがここでいうぴったりとは原子一個分の誤差もないくらいぴったりの事を言います。

そのぴったり一切の狂いもない神様の様な値を「真の値」といいますが真の値は概念的な話であり人間がそれを作り出す事は不可能です。

ですから物作りにおいては、ある一定の幅のなかに入ってれば良しとしよう!というルールを決めて、その範囲内でつくる訳です。

20mmとはいえ19.8~20.2mmの範囲に入ってれば良しとしよう!といった具合です。

この範囲を決めるルールの事を寸法公差といいます。

・全ての物においてピッタリ(真の値)には作れない
・許容できる誤差の範囲のルールを決めて作るのが普通でその範囲を寸法公差という。

はめあい公差

例えば直径20mmで作った丸棒が直径20mmの丸穴に入ると思いますか?
機械や工業分野にいなかった人はおそらくこの感覚がよくわからないと思います。

二つの部品を「真の値」で作ることは無理なのでどちらも一定の幅の寸法公差で作る訳ですが、例えばその幅が被る範囲があったらどうでしょう?

丸棒  19.8~20.2mmの間で作る
穴側  20.0~20.4mmの間で作る

こんな風にルールを決めてしまったら
丸棒が20.2mmで、穴が20.0mmだった時は丸棒の方が大きいのでに入る訳がないですよね?

だから丸棒の公差の最大値が、穴の公差の最小値より大きくならないといけない訳です。
例として正しい公差を設定するなら

丸棒  19.8~20.2mmの間で作る
穴側  20.3~20.4mmの間で作る

こうすれば確実に公差の中のどの寸法になってしまっても確実に丸棒が穴の中に入ります。考えてみればシンプルで難しい事はありません。

また丸棒と穴の大きさの差が大きければ入れやすく、小さければ入れづらいという事がおきます。

なので工業の分野ではその入りやすさの具合を何段階かに分けてルール化しています。

このルールに従って作れば、任意の入れやすさに調整できる訳です。
こうした二つの部品どうしの嵌めやすさを決める寸法の組み合わせを「はめあい公差」と言います。

・同じ寸法を狙って作っても公差の設定がおかしいと部品どうしが入らない。
・「はめあい公差」は部品どうしのはめやすさを決めるためのお互いの部品の公差

いかがでしたでしょうか?
工業や製造業の分野で働く場合、製造部門や設計部門では当たり前に使われている知識になります。

営業職といえどこうした知識を学んでおくことで、客先だけでなく自社内でも役に立つ事があります。

例えば自社製品でクレームが発生した時に技術部門から『この部品のはめあい公差がおかしかった様だ』と説明を受けても何も知らなければ理解不能です。

今回紹介した事は全て機械系の製造業の分野では営業職でも必須の知識と言えるでしょう。

また別の記事では製造業への転職や就職を考えている方向けに最低限知っておくべき製造業の常識を紹介してますので、よければこちらもご覧下さい。